~早いよ…~


店の外は相変わらず長い行列ができ、しぃの人気は衰えを知らない。
爽やかな笑顔と、どこかミステリアスな雰囲気が魅力的なのか。
淹れる紅茶も絶品で、最近では紅茶目当てで来てくれる人も出てきた。
単純に紅茶を楽しんで欲しいあたしとしては、本来のカフェの姿が甦るのは嬉しいんだけど。


あの告白が頭から離れない。
お風呂に入ってても、トイレに入ってても、空を見ても、紅茶を淹れてても…。
まぁ、隣にいるんだから忘れようもないか。
しぃは…気にならないのかな?気にするよね。
告白した本人だし。
あぁ見えて意外とあたしが横にいて心臓バックバクとか…。
ないか。


「聞いてる?」


「えっ?何?」


「お昼、食べて来なよ。ここはやっとくから。あと少しでお客さんも落ち着きそうだし」


言われて窓越しに外を見ると、先が見えなかった人の波がいつの間にかなくなっている。


「もう二時過ぎだよ。いくら照れ臭いからって、そんなに必死に働かなくてもいいでしょ?」