彼は人魚姫!

警察にも病院にも、連れて行きたくない。
連れて行けない…よ。
身元が分かったら、きっとここには戻って来ない。
あたしの事も忘れる。
あたしはしぃがどこの誰なんてどうでもいい。
例え大金持ちだろうとすっぽんぽんのホームレスだろうと関係ない。
ちょっとHな事を言ったりするけど、まぁ、許容範囲。
あたしは…あたしは、これからのしぃを理解すればいい。
何でだろ。
しぃをね、渡したくなくて。帰したくなくて。


あたし………、悪い。
悪い事をしてる。
しぃを探してる人がいるのに。
自分勝手で最低だ。
分かってる。分かってるんだけど。
ねぇ、しぃ…。


しぃが寝泊まりしている休憩室の、敷きっぱなしになっている布団の上に何とか寝かせる。
少しずつ体をずらしながら掛け布団から敷き布団へと移動させる。
いつもなら…、きっとこんなに密着してたら抱き着いて来るだろうな。
今は…、そんなじゃれごとがない事が淋しい。


「どうしたの?ねぇ、お願い、元気になって。お願いだから………」