彼は人魚姫!

言われた彼女は真っ赤になってうつむいている。
何もこんなあからさまな意地悪を言う事ない。
例えお客さまだとしても、同じ女として許せない。
大体、何だ?そのルールみたいなの。
店長のあたしは認めてない。
無理なお願いだとしても、彼女は聞いただけじゃない。
『新規』とかいう言い方も何だ?
ここはいつからそんな、人を区別する場所になったんだ?
あぁ…ムカついて来た…。


「今、どなたがおっしゃったん…」


「皆さん、ハムサンド、食べませんか?僕、お昼食べてなかったからお腹空いちゃって。たくさん作ったから、良かったら食べて下さい。ただし、お金を取らない分、味は文句なしですよ。でも、きっと美味しいから」


あたしの声を遮るように、しぃがカウンターの中から大きな声で言った。
邪魔したな。
でも…、やっぱり助かった。
お客さまとケンカしたら終わりだよ。
あたしは何を考えてたのか…。


しぃはカウンターから出るとアイドル並の爽やかな笑顔で、テーブルをひとつずつ回って行く。