彼は人魚姫!

「えっ!?」


『今、何て?』って聞き返したい気持ちを胸の奥にグッと押し込める。
そう聞き返しちゃいけない気がした。
本能で。
きっと………、これはあの、有名な『プロポーズ』ってやつよね?
そうよね?そうだよね?
うわっ!
どうしよ。
って何で今?
いやいや、それは今はどうでもいい。
プロポーズだよ。プロポーズ。
どうする?何て答えたらいいの?
えっ?どうしよ。
何の心の準備も出来てない。
いきなり過ぎ。
大体、あたしたちって付き合ってた?
確か…、友達だったはず。
キスだってした事ない。
そうよ。
まず、付き合ってからでしょ?
薫は何を血迷ってるんだ?
って、でも、薫のあの瞳は真剣だし。
茶化せない。


頭の中がパニックで言葉が上手く組み立てられない。
あたしの気持ちは?
………落ち着け。落ち着け。
あぁ、何か体中が熱くなって来た。
薫にこんなに見つめられて、心臓はバックバク。
いつもより一段と男らしく凛々しく見えるし。
『うん』って言ったら、すぐにでも最高に幸せになれそうな気がする。