~複雑なキモチ~
女性たちの行列を渡ってカフェの隣の畑に出る。
青い空と茶色い土と緑の葉。
そして軽トラに乗ったイケメン…。
似合わないのか似合うのか、分かんない。
「ごめんね。心配して来てくれたのに」
ちょっとでも申し訳ない気持ちを伝えたくて、軽トラまで走る。
怒鳴られるかな。
「走るな。お前、すぐコケるから」
そう言って、慌てて薫が軽トラから降りて来る。
顔だけで言うなら、薫もしぃに負けてない。
「2人が並んだら無敵だね…」
「何?」
「何にも」
これだけのイケメン。
なのに薫には、ずっと彼女がいない。
最近は『オレはうんと年下がいいから、これから生まれて来る赤ちゃんを狙ってるんだ』って、ずいぶん変態じみた事を言ってるけど。
実際はどうなんだろ?
仕事に情熱傾けてるとこもあるしね。
『今は仕事』なのかな。
でも、その方がいい。

