彼は人魚姫!



に、しても。
この大盛況…。
まだ店の外に人が並んでる。
30人くらいはいるかな。
ここにいる人たちも何杯飲む?ってくらい、紅茶飲んでる。
で、帰らないし。
若い学生さんたちも主婦たちも、しぃばっかり目で追ってる。
あいつもあいつだ。
なに、ニコニコ笑顔振りまいてんのよ。
あたし以外の人間はモザイクかかってるんじゃなかったの?


「休憩したら?ママ」


あたしが買って来た白いシャツとジーパンに着替えたしぃが、優しく笑いながら言う。


「いきなり現れないで。びっくりするでしょ」


カウンター越しでも身を乗り出して近付いて言われたら、軽くパニクってしまう。
その大きな目、頼むから見つめないで。


「大丈夫。僕がちゃんとやるから。ね」


軽くウインクする。
あぁ…、しぃは一体、何者なんだ?


「えっ!?えぇ!?」


あたしのエプロンをササッとはぎ取り、素早く身に付ける。
動作が早い。


「やっぱり、ママの形、好きだよ」