~何事?~


数時間前、あたしは1人でいつものようにこの坂を下りた。
そしてそのちょっと後、変なイケメンを1人拾って、2人でこの坂を上った。
で。
今、その変なオトコの為に服を買って、荷物を抱えてまた坂を上ってる。


あたしって、もしかして『いい人』?
いやぁ、そう思うなら、偽善者になってしまう。
だって、あいつがイケメンじゃなかったら…。
う~ん。
正直なところ、あの顔面の素晴らしさと、美しい肉体…に目を奪われた事が大きい。
あぁ…。あたしって、そんなやつだったんだ。
いやいや。
所詮、人間なんてこんなもんだって。
例え、あいつがイケメンじゃなくても警察に通報くらいはしたって。


「でも、このままじゃマズイよね」


額を伝う汗を拭って、坂の上の『Cafe 雫』を見上げる。
見上げ…た。


「な、な、何事!?」