少しの勇気があれば、何か変わったのかもしれない。
今からでも一歩、踏み出せば変わるのかもしれない。
でも、出来ない。
怖い。
拒否される事を考えたらとても出来ない。
それならこのままの方がいい。
あんな事もあったなって、静かな思い出にする方がいい。
それがいい。それが楽。
結局、あたしは卑怯。
傷付きたくない。きっとそれだけ。
だから、誰からも本気で愛される事はないんだ。


毎日ここに来る。
卑怯なあたしはどこまでも他人頼みで。
振られたくせにまだ奇跡を期待してる。
あの日のように。
またここで出会えるんじゃないかって。
何もなかったような顔で現れてもいい。
最悪、謝らなくてもいい。
前のように変わらず接してくれるならそれでいい。
もう、そこまで気持ちは妥協している。


願いながら、祈りながら、砂浜を歩いて行く。
会いに行く勇気はないくせに、会いに来てくれる事を待っている。
好きなのに、自分から形に出来ない。
諦める事すら出来ない。
情けなくて涙がこぼれる。