彼は人魚姫！

あたしは。あたしは、どれだけ人を傷付けるんだろう。
そんなつもりはないのに。
恋って幸せになるんじゃないの？
どうしてみんな辛いの？
進めば進むほど苦しんでる。
大切な関係が壊れて行く。
だから、だからってここで止まる事も出来ない。
もう先を選んで歩いて行くしかない。
心に決めた人の手を掴みに行く。


見上げた星が、ちょっとだけ滲んで歪む。
もう少し、このままが良かったのに。
神様はたまに、こうやって意地悪する。
あたしの心の中を覗いて行く。


「あっ」


ぬぐった目の先に描かれた光の線。
いくつになっても流れ星に願いを言えない。
いつだって一瞬。
オーナーだったら、きっと優しく笑って『僕もだよ』って言うんだろうな。
しぃだったら……。
きっと肩を抱き寄せて、『僕の願いはママといる事だから。もう叶ってるから』って言う。
たぶん、そう。
しぃは。