彼は人魚姫!

「あの時は嘘をついてすいませんでした。あなたがしぃを探していたから。迎えに来たんだって思って。騙しました」


謝るあたしを見て秋穂はフフッと笑った。


「しぃ、分かった。あなたは家を継ぐのが嫌で逃げ出して来たのよね。誰でもいいからかくまってくれるバカを探してた。あんな格好で海辺に倒れてりぁ、助けてくれるやつが一人くらいは現れるってもんよね。で、まんまと、あたしが引っ掛かった。結婚でもしてこのまま逃げ切ろうと思ったんだ。違う?」


言いながら涙が溢れて来る。


「まさか。風、そんな事を考えてたの?あなたがこんなところで暮らしてどうするの?会社は?無責任よ」


「会社?そんなもの今は関係ないでしょ?」


「ふざけないで。海堂グループよ。分かってる?世界を動かしてるのよ」


すごい剣幕で秋穂が声を荒げる。
海堂グループ?さっきも言ってたような。
海堂……、海堂……グルー……プ?
頭の中で言葉を繋げて記憶の中で立体化させて行く。