彼は人魚姫!

無言の行動ほど怖いものはない。
しぃは苦笑いして手を戻す。


「ふざけるなら黙ってろ。雫さん、こいつは僕の弟で海堂 風(かいどう ふう)と言います。先日、父が早々に会長職に退いてしまい、僕たち兄弟が会社を継ぐことになったんです」


「会社?」


「ええ。海堂グループ。石油、金融、航空、美術、その他色んなことをやっているわ。彼らはその海堂グループの跡取り。そして私は風の婚約者。風は昔から自由が好きで、海堂グループという枠にはめられるのが嫌だったの。小さい頃からカメラが好きな人で、作ったりもしてた。風が撮る写真はとっても優しいの。風景なんだけど、そこに柔らかい空気を感じる。空や木や花の息遣いが聞こえるの」


突然現れた美女は、前に一度会った、美郷秋穂。
しなやかなモデルのような歩き方であたしたちの側に来た。
何なの?この美男美女の集まり。
目の保養になるというか、まぶし過ぎるというか。
っていうか、何でこの人がここにいるの?