彼は人魚姫!

「兄弟?」


『似てないけど』って?
いやいやいや。そう言われて見れば、そうだよ。
目は確かにちょっと違う。
しぃが大きくクリッとして目力があるのに対して、オーナーは大き過ぎず小さ過ぎず、ちょうどいいバランスで優しげ。
でもスーッとした高い鼻、血色のいい唇、そしてやっぱり何かが似ている。
まとっている空気が同じかもしれない。


「何も知らないんですか?」


オーナーが申し訳なさそうに聞いて、チラッとしぃを睨む。
この目は怖い。


「きっと……、何も知らないです。だって、しぃは記憶喪失だったから……」


正確には正常。いたって正常。
ただ、あたしを騙してただけ。
そこのところが悲しくて、情けなくて、泣けて来る。


「こんな可愛い子をよくも騙せたな。お前は真っ直ぐで嘘はつけないやつだと思ってたのに。雫さん、本当にすみませんでした。簡単に言うと、家庭内のゴタゴタです。こいつが家を継ぐのを嫌がって」


「家を継ぐ?」


「僕は海から来たマーメイドだよ。ママを探してたんだ。生まれる前から、ずっと」


しぃの手があたしの肩に伸びたと思ったら、すかさずオーナーの手がバシッと払いのけた。