彼は人魚姫!

「まだ覚えてたの?」


「な………、何言ってんの?ごまかすつもり?」


この期に及んで、しらを切るつもり?
そうはさせない。いや、出来ないでしょ?
普通の神経なら。
違う。コイツは普通じゃなかった。
あたしはゆっくり呼吸を整えた。


「誰と喋ってたの?『一人言』っていう言い訳はなしよ。あたし、そこまでバカじゃないから」


チラッとあたしを見て、しぃが笑う。
そう、その微笑みが今までの答えなんだ。


「バカでいられたら楽な事だって世の中たくさんあるのに。知らなくていい事は知らなくていいんだよ。バカになるのも、ある意味才能。中途半端は始末が悪い」


「中途半端?それ、あたしの事?そう。上等じゃない。中途半端で始末の悪いヤツに分かりやすく説明して。とにかく、今すぐ!説明して!」


興奮したらダメだと分かっているのに、気持ちが焦る。
こういう事は先に声を荒げた方が負ける。
ほら、しぃが意味深に笑った。