彼は人魚姫!



~何を信じますか?~


店のカウンターの真ん中の椅子に座って、あたしはしぃが入れてくれた水をゴクッと飲んだ。
痛みの増してきたほっぺたには、冷たいタオルを当てている。


「タオル、替えようか?」


正面に立っている、しぃが心配そうに聞く。
正面にいるのはいいんだけど、何故、あたしの顔ギリギリまで自分の顔を寄せるの?


「顔、近いんですけど」


「キスして欲しい?」


思わず上げようとした右手を素早くしぃに掴まれた。

「傷に障るよ」


ニッコリ笑っているものの、手に力が入ってるって。
コイツ、しっかりペースを戻してる。
いつものしぃの笑顔。
ダメだ。絶対にこの顔に負けちゃダメ。
あたしは騙されてるかもしれないんだから。
呼吸を整え、軽く咳払いする。


「話、聞かせて。本当の事を」