彼は人魚姫!

「暴力じゃ何も解決しないよ」


「お前………、よくもそんな事が言えるな。お前のせいだろ!」


「どういう理由があるにせよ、か弱い女性に手を上げるなんて最低だ。僕は許さないよ」


しぃが流し目で薫を見たと想像出来た。
ごめん。薫!あたしのせいなのに。


「ち、違う。あたしが………」


痛む頬を動かして口を開いたあたしに、しぃがウインクする。
太陽みたいに眩しい笑顔で。
今、一瞬、歯がキラッと光った?
まるで漫画みたいだけど。ちょっとだけ、確かにそう見えた。
ほら、もう、しぃのカッコ良さにまた魔法をかけられてる。
イケメンが自分を見て微笑んでくれるって、なんか気持ちが満たされる。
あぁ、あたし、何を考えてるだろ?
顔だけなら、薫だって負けてない。
いやいや、しぃの顔は完全にあたしのタイプなんだ。
いやいやいや、そうじゃないでしょ?
しぃはあたしを騙してたんだよ。


ううん。違う。違うよ。違うって。
このまま、この腕に抱かれていたい。
この感じる体温が、真実だって思いたい。