~ひどいよ~


な…何?何か鳴ってる?
ほっとく?
まだ眠い…。
って、ダメだ!この聞きたくない甲高い音の連なりは…。
携帯の目覚まし!
しかも、この定番のよくあるうるさいアラーム音は、もうすでに4回鳴っている証拠。
気付いてないよ。
これで起きなかったらヤバい。
完全に寝坊だ。
…あと少し。あたしの左手よ、どこかに落っこちた携帯を拾って。
ベッド周りをあちこち指先でなぞって、何とかまた眠りに堕ちる前にアラームを止める事が出来た。


まだ少しぼんやりした頭で昨日の夜の出来事を思い出してみる。
あれは夢じゃない。
夢じゃなかったよね?
オーナーに会った。
とっても素敵で。優しくて。
ちょっと淋しそうだった。
でも、そこがまた、カッコ良かったりもした。
憂いを帯びた横顔が、ずきゅんと心を撃ち抜いて。


いやいや。
惚れちゃダメだって。
ここでブレーキかけとかないと。
あたしって、もしかして、惚れっぽい?かな?