取りあえず、辺りをキョロキョロしてみる。
何も…ナイ。
当たり前と言えば当たり前な話。
こんな海辺に服が、しかも男物のパンツなぞ落ちてるわけがない。
あるのは打ち上げられた海藻くらい。
海藻…。巻く?こいつに?
ちょっと想像して吹き出した。


「ママ、どうかしたの?」


イケメンのくせに、首をかしげた顔がめちゃくちゃ子供っぽくて可愛い。
母性本能をくすぐるやつめ。


「何でもない。それより…、う~ん。あっ!!ちょっと待ってて」


板、発見!!
しかも2枚。
大きさは幅が1メートルくらいかな。
あれはベニヤ板?
ちょっと傷んでて濡れてそうだけど、まぁ、持つ分には問題ないでしょ。
あたしは10メートルくらい先の波打ち際まで走った。
サンダルの中に砂が入り込んで来る。
最近、味わってない感覚。


「ママって、カワイイ…」