それは周りの扉と何も変わらない、唯一違いがあるとすれば何も書かれていない事だった。

「ここがそう?」

リュナが疑いたくなるのも分かる。

そこが総本山だと言える材料が一つも見当たらないのだ。

しかしカルサは自信を持って答えた。

「ああ。」

リュナに答えた後、視線を扉に向けた。

だんだんと表情が無くなっていく。

そんなカルサをリュナは見ていた。

色々浮かぶ疑問を聞けなくする表情、その雰囲気からいくつもの思いを飲み込んだ。

リュナはカルサが思うよりも敏感に察していた。

カルサが振り向く、何事もないようにリュナは微笑む。

「私ならいつでも。」

リュナの言葉にカルサは微笑み、やがて扉に手をかけた。

ゆっくりと重たそうな音をたてて扉を開ける。

その瞬間から眩しい光が二人を包んだ。

目が眩み、思わず手で目を覆う。

さりげなくカルサはリュナの前に立ち、壁になった。