もう、一体どのくらい経ったのだろうか。

「サルスがいない、とは。」

私室にもサルスの姿はなかった。

書斎、王座の間、会議室、思い当たる節はあたってみたが、どれも外れていた。

道中に見える庭も確認している。

「珍しいな。」

サルスが見当たらないことが珍しい、そう思った瞬間カルサは考えを改めた。

居ない事が珍しいのではない、カルサがサルスを探すことが珍しいのだ。

いつもは頼んでいなくても向こうから来るか、ナータックが連れてくる。

そう考えると、自分から動くのもたまには悪くないかもしれないと思えてきた。

「他に行きそうな所はどこだ?」

足を止めてもう一度サルスのことを考えてみる。

資料室、武器庫、厨房、食堂、まさかとは思うが訓練所にいたりするのだろうか。

それとも既に探したところに戻っているのかもしれない。

「…面倒くさいな。」

考えれば考える程、深みに填まっていくような気がしてきた。