「ということは、今日は穏やかな方なのね。」

そう呟いて貴未は城を見上げた。

今日は青い旗が風になびいている。

「疲れたな。」

旗を見て貴未は小さく息を吐いた。

ここ最近、貴未は毎日のように魔物討伐に出撃している。

小者がほとんどだが、出るというだけで精神的に疲労が増えた。

またか、今日もか。

呟いてはいけない言葉を胸の内でぼやき腰を上げて出陣する日々。

はっきり言って業務過多だ。

「リュナんとこでも行こっかな。」

リュナは今、一時的に直轄部隊から離れている。

一応、貴未は彼女の上司にあたるのだが、そんなことは抜きにして純粋に仲間の様子が気になっていた。

しばらく姿を見ていない。

そんな人物はリュナの他にもいた。

「聖は?帰って来た?」

「いえ、私共の方には何も連絡はありません。」