「きみは風の精霊なんだね。僕の名は日向。不思議な夢に誘われて東の方からやって来たんだ。」

風の精霊・社は不思議そうな顔をした。

彼の言おうとする言葉の意味が分からない。

しかし、祷の様子から続きがあることを察して黙り続けた。

「その夢は本当に不思議で毎回同じ事の繰り返しなんだ。声と…景色だけの不思議な夢。」

その夢で聞こえるのはただ一人の声。

泣いているのか、哀しげな声で毎回同じ言葉を囁く。

お願い、探して。

お願い、見つけだして。

そして見えるのがここの場所、日向は風の精霊・社に夢の中身を話した。

声の主は女性、うっすらと見える姿では顔まで分からないが肌が白く髪は長い。

「見つけだしてとは何を指しているの?」

「分からない。ただ、ここに来なきゃいけない気がしたから。」

日向の言葉に社は考え込んでしまった。

炎の精霊・祷をつれている、その時点で正体は分かっているのだが決心が付かない。