少し高い声、彼女と表現した方が良さそうな感じだ。

小動物は風の精霊をじっと見つめていたかと思うと、一瞬にして姿を炎に変えてしまった。

そして同じ様に人に似た形を成す。

「祷(いのり)どうかした?」

炎に姿をかえた小動物を、おそらく名前なのであろう。青年は祷(いのり)と呼んだ。

祷は頷き、炎で形どられた姿を青年に向けて言葉を伝える。

「はい、主。あれは風の精霊・社(やしろ)と申します。」

可愛らしい声で祷は主人である青年に説明をした。

どうやら祷も彼女と表現した方が相応しいようだ。

青年が祷の名を呼んだ瞬間、風の精霊は小さな反応を示した。

「祷?何故ここにいるの?その人間は…まさか?」

「ええ、社。この方は私の主、日向様。貴方こそ…どうして?」

彼女たちの会話に沈黙が訪れた。

日向と呼ばれた青年は立ち上がり、ゆっくりと風の精霊・社の許に歩いて行く。

祷の横を通り過ぎる時には、おいでと誘い、二人は社の目の前で足を止めた。