なんと不完全燃焼な吐き出しだろうか。

「ちくしょう…。」

抑えきれない涙が千羅の頬を濡らし、ゆっくりとその身体を瑛琳に預けた。

目を閉じて蘇るのはあの光景。

胸に刺された呪縛の剣、やけに穏やかな顔が頭から離れない。

「これで眠れる。これで終わるんだと…言いやがったんだ!」

もう、俺を起こさないでくれ。

千羅にはカルサの胸の内が聞こえていた。

大切な仲間が二つとない身体を貫かれたことで安堵を手に入れたなんて、そんなに辛い事はない。

「誰があいつにそんな事言わせるんだよ!俺たちの思いは…届かないのか…っ!?」

涙が止まらない、切ない気持ちも止まらない。

光の神が自ら闇に堕ちる事を望むなんて。

あの表情が頭から離れないのだ。

「千羅、私たちにはまだ希望があるわ。」

千羅を胸に抱き、彼の悲しみさえも抱きしめながら瑛琳は強い意志を持って千羅に言葉を伝える。

気のせいか彼女の凛とした声は震えていた。