ここにいる人間は彼らの力と比べようものなら赤子同然だ。

分かっていたとはいえ、カルサの置かれていた立場に眉をひそめてしまう。

これでは駄目だと、そんな言葉が遠慮なく口から出てきそうだ。

どれだけ気を許せずに辛い思いをしただろうか、どれほど自分で守らねばと気を張っていたのだろうか。

「随分と用心深いじゃないか。余程の力を持つ者でなければ入れない結界とは。」

「雑魚がまとわりつかなくて気が楽だろ?」

「まぁな。」

余裕の表情とは裏腹に心中は穏やかではなかった。

ジンロがやっとの思いで入ることのできた結界、瑛琳と千羅には厳しいことは間違いない。

それはつまりここに助けは来ないということだ。

内側から突破口を作らなければ、それも早急に。

「あいつに何をした。」

顔を少し動かし顎であいつが誰かを示す。

その対象がカルサであると分かっているヴィアルアイは満足げに笑うだけだった。

「死んではいないが息をしていない。仮死状態になっている…どういうつもりだ?」