“風玉を造れ”

カルサがリュナにこう指示をしたのは勿論、この国を守る為だった。

先のことを考えると不安視してしまう現状の戦力不足。

いつか自分たちがいなくなった後、例え一時しのぎだとしても大きな力が必要だった。

造った本人じゃなくても、力を持つ者であれば作動することができる。

そんな奇跡のような神の力。

リュナの風の力を圧縮した風玉はいつか必ず役に立つ日が来るだろう。

それはカルサが造った光玉も同じだ。

願わくはそんな日が来ないことを祈るだけだが、そうもいきそうにないというのがカルサの見解だった。

微力でも特殊能力が使える人材を見付けだし育てなくてはいけない。

育てる人材も作らなくてはいけない。

頭の中は常に目まぐるしく未来を案じて対策を練っていく。

考えていることの難題さが顔に出ているのか、ただでさえ感情を見せないことに加え、今のカルサはさらに近寄り難い雰囲気を出していた。

すれ違うものは足を止め、いつもより深く頭を下げていく。