「自分の仕事をするだけです。大丈夫。」

余裕の笑みを見せると何でもないと女官に手を振りながら歩いていく。

これも与えられた任務なのだと言うような堂々たる姿にそれ以上問い詰めることが出来なくなる。

「城内を宜しくお願いします。」

「…はい。」

去り際に頭を下げて告げた言葉は残された女官に託された。

困惑しながらも呟くように了承の声をもらす。

笑みを残して去っていったリュナの足取りは早く、目指すものがある意志が見えていた。

マントに包まれた身体、隠された胸元にはジンロから受け取った首飾りがある。

「ジンロ様。」

これは頼みの綱だった。

祈るように囁いた名前とすがるような気持ちが首飾りを持つ手に力を込めていく。

これは完全に自分だけで判断した、自分勝手な行動だ。

階段を上り、リュナが目指していた場所、城の中で一番広く見通しのいいバルコニーに繋がる扉を開けた。

広々と空が見えるだけに雨が自由に暴れている様子を目の当たりにする。