夢から覚めたのは朝が近いからだった。

ゆっくりとまぶたを開け、ぼんやりと天井をその目に映す。

いつもの景色、変化はない。

聞き慣れた音が耳に入ってくるのを感じながら身体を起こして窓の外を見た。

窓の傍ではラファルが座ったまま、静かに空を見上げている。

「ラファル。」

カルサの言葉にラファルは顔を向けて答えた。

ベッドから足を下ろし、ほぼ天井まである大きな窓に近付いていく。

ラファルの横に立ち、同じ様に空を見上げて目を細めた。

目に映るか映らないかのささやかな存在が大量に空から注がれている。

バルコニーは水溜まりがいくつも出来ていた。

薄暗い景色、この霞むような景色はもう見慣れたものになりつつある。

「また、雨か。」

カルサの声が音もしない雨に消し殺される。

もうこの雨は数日も続いていた。