~ーそれぞれの思いー



















いつも通りの様に見える隊士達の騒ぎ声、稽古場での竹刀と竹刀がぶつかり合う音、






いつもと何も変わらないはずだった。





だけど、1つだけ違う事がある。






皆の視線はそこ一点に集中している。






ガハハッという盛大で威圧的な笑い声を周囲に振り撒きながら、自分のおかげだと豪語し、朝だというのに酒を飲んでいる様で、顔が赤く染まっている大男。






その大男を取り巻くもの達も我が物顔で堂々と居座り、大男に酌をしている様だ。






この前川邸には珍しいそのもの達は、あまり関わりの無い平隊士達にとっては、恐ろしい事この上無いだろう。





今では、もうその暴れ癖は壬生浪士組にとって汚点とも言える、






普通だったら、廓か八木邸にいるはずのもの達…






芹沢一派だ。






今日は芹沢一派も含めて、壬生浪士組の者達全員で朝餉の時間に前川邸の広間に集まっている。





それには理由があって、重要な報告をしなければいけないからだ。




芹沢一派の騒ぎ声以外何も聞こえなくなった時、土方の横で黙って座っている近藤が勢いよく立ち上がり皆の注目を集めた。





そして、芹沢一派の騒ぎ声をかき消すぐらいの威圧的な大声で、言葉を紡いだ。




近藤「会津藩から私達壬生浪士組に″新撰組″という素晴らしい名を授かった!」