~・西瓜日和・~






新見さんとの事があってまだ三日しか経ってないある日の昼時。






いつもに増して日照りが強く、誰もが額に汗を浮かべ、人々の吐息をかき消す様に蝉の声が鳴り響く、そんな日だった。





狭い屯所には多すぎる隊士達。







道場の熱気は最高潮にまで達し、隊士達は暑さにバテていた。






美鈴も嫌になる程の夏の厳しさに頭を悩ませていた。





多分、美鈴が一番に困っていると思う。





美鈴がこの時代に来て初めての夏なのだ。





クーラーも無い状態でこの時代は現代より暑い。





美鈴にとっては酷な事なのだ。






美鈴「暑いっ……ぅぅ…」





よりによってこんな暑い日に庭の掃除をしなければならない事を恨みながら美鈴はだるそうにほうきを動かす。





その美鈴の前の縁側では涼しそうな顔をしている斎藤がいる。





斎藤「…………。」





相変わらず美鈴で和んでいるようだ。





斎藤さん。涼しそうだなぁ…。





美鈴は斎藤が涼しそうにしている事を羨ましそうに見詰める。





だが斎藤は涼しそうな顔をしているだけであって、涼しい訳じゃない。





暑さは美鈴と同じなのだ。





それの証拠に斎藤の後ろでは永倉が大の字で寝転がりながら「あちいっ!!」と嘆いている。