妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>

「う‥あれ?」

多摩が目覚め、遥と龍二は心配そうに覗きこんでいた。

「本堂君!! 桐生くん!? え⁇ 私、どうして⁈」

あたふたする多摩に、遥はなだめるように声をかけた。

「落ち着いて。多摩さん、ここで倒れてたんだ。ケガはなかったから良かったけど、貧血? 送って行くよ?」

「嘘! ご、ごめんなさい! 迷惑かけちゃったみたい! 大丈夫大丈夫! 一人で帰れるから!」

側に落ちていた自分のカバンを慌てて拾い上げ、逃げるように二人の元から走り去って行った。

「多摩さん、あんまり絡まないからわかんないけど、挙動不審?」

目をパチクリさせながら言うと、龍二は呆れたため息を吐いた。

(こいつ、何気に鈍感だな)

チラリと遥を横目に、龍二はまた別のことを考えていた。

あの時相殺された自分の技。自分よりもはるかに上回る力と、それを相殺させるバランスが必要とする高度な技術。

並大抵のものではない。

自分の力は、まだ到底及ばない。どれだけ努力すれば、こいつに届くんだと、龍二は奥歯を噛み締めた。