妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>

遥の短剣は熱風を取り込み、一本の矢へと変わった。

「朱雀の破魔矢をその身に受け 悪しき心を滅せよ!」

力ある言葉を放ちながら矢を打つ。
その矢は多摩の胸へと刺さり、赤い熱風が多摩を覆う。

「あああっ!! 熱い!!熱い!! いやあああああっ!!」

もがき苦しむ多摩を見下ろしながら、遥は苦い顔を見せた。

(ごめんよ多摩さん。これしか君を救う手立てがないんだ)

数秒後、風船が割れるように熱風が弾き割れ、多摩にまとわりついていた邪気を払うことができた。
多摩は力なく道に倒れこんだ。


遥は龍二の隣へと降り立ち、小さく息を吐いた。

「大丈夫か?」

「お前こそ。ボロボロじゃん」

遥に言われて自分の制服を見てみると、そこらかしこが破れていた。

「げっ! 明日学校どーしよ!」

「チューリップのアップリケでも付けてやろうか?」

「幼稚園児か俺はっ!」

中身はほぼそれと変わりないと思ったが、遥はクスクスと笑った。