一人残された遥は、伸ばした手をグッと握り締め、多摩の心の中で泣いていた声の元へと飛んだ。
一つの小さな、手のひらに乗るほどの小さなドア。
それをそっと手に取り、胸に抱き寄せた。
そのころ龍二は生鬼になっている多摩を相手に少々苦戦していた。
「くそっ! 遥のやつまだかよ!」
錫杖をシャンと鳴らしながらクルリと回し、地面に叩き付ける。
「オン・サラバタタ・ビサンマエソワカ!
破っ!!」
叩き付けられた場所から木々の根が触手のように生え、逃げ惑う多摩を追う。
その隙に懐から霊符を取り出し、符呪を唱える。
「伏して願い奉る!
我を加護せし鷹龍よ!
怒りの蜷局を巻いて現れ出でよ!!」
闇色に染まった辺りの雲が蜷局を巻くように集まり出し、それは見る見るうちに轟き始め、一陣の雷を生み出しながら龍二の掌へと落ちる。
多摩はあまりの眩しさに目を眩ませ目を覆った。
「雷神撃!」
雷は槍に変わり、グッと握り締めて投げ打つ。
「待て龍二!
龍星波!」
七色に輝く蝶の群れがそれを止め、龍二が放った雷を相殺させた。

