妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>



 真っ赤な血を腕から流し、呻き声を上げている龍二に勾陳の術の一つ、癒しの繭で体を覆った。


 一時もしないうちにそれは弾け、龍二は口の中に残っていた血をペッと吐き出した。

「くそっ! 馬鹿みたいに速い」

「速さもだけど、何で大人しい多摩さんがこんなことになったんだ?」

 短剣の柄に付いている青い玉を生鬼に向けて覗くと、映し出されたのは多摩の心の奥の更に奥の、深淵の心。

 誰の侵入も許さない、自分の心の扉。

「ごめんよ多摩さん…」

 一言謝りを言うと、念でその扉を開け放つ。

そこは暗く冷たい闇の部屋。

 肌寒さを感じ、身震いをする。

(泣き声・・・)

 遥は声のする方へ移動すると、目の前に何かが姿を現した。

 灰色の繭に覆われた小さな子供。

(多摩さん・・・?)

 そこへ行こうとすると、ひと筋の稲妻が邪魔をしてきた。

「うわっ!」

「ここから先は通さないよ」


 透き通るような声が行く手を阻む。