そういえば、最近やたらに狙われてくるなと思っていたことだった。

 龍二が来てから倍に増え、封印しながら六合や蒼龍に修行してもらいながらの生活。

 どこかで倒れないとわからないぐらい霊力を使っていることに気付かないなんてのは、自己管理ができていない証拠だ。

「あ…ごめん。霊力、そんなに減ってたなんて、気付かなかった」

「もう。蒼龍さん聞いたら呆れちゃうわよ? 司お姉ちゃんの栄養ドリンク飲んどく?」

 小さく頷きながら体を起こし、小さなアンプル瓶を貰って開ける。

「司さんのドリンク、よく効くから好きなんだけど…」

 異様な臭いに鼻を押さえる二人。

「臭いさえ普通ならねえ…」

 緋音の言葉に頷くと、鼻をつまんだ状態のまま一気に飲み干した。

 味と効能はいいのだが、臭いさえなんとかしてくれたらいいのになと思う二人だった。

 
 そんな時、龍二が鞄を持って保健室へとやってきた。

「大丈夫かよ? あの日かぶふぉっ!?」

 いったいどこから土偶が出てきたのか? 失礼極まりない龍二に、緋音がそれを投げつけた。

「あんた、本気で忘却の川に流しに行ってもいいかな?」

 蒼龍の怒声よりも、緋音がこの中で一番怖いんじゃないかと思う遥だった。