「幻獣界に帰りやがれ! このド変態神獣!!」
思い切りじいさんを階段目掛けて蹴飛ばすと、じいさんは勢いよく転がった。
良い子は決してマネしないことを祈ります。
「ハァ…。俺の平凡な朝って、いつくるんだ?」
毎朝じいさん一人を相手にするのもウザイというのに、更に龍二を加えられ、遥の平和な朝は一体いつ訪れるのか?
ネクタイを絞めて髪を整え、遥はいつも通り自転車に乗り込んだ。
「お~い。俺も乗せてって~」
後ろを振り向けば、龍二が真新しい制服に身を纏っていた。
「え。お前転校してくんの?」
「わりいかよ。俺これでも成績はいいほうなんだぞ」
昨日の騰蛇と玄武の会話を聞いてその反応を見る限り、どう考えてもいい方とは言えないと思ったが、あえてそこは口にしないことにした。
龍二を後ろに乗せ、朝のラッシュの道路を通って行く。
夜中か明け方に雨が降っていたのか、道路には水溜まりができていた。
冷たい風が全身を撫でるように過ぎ去ると、遥はクシャミを一つ。