「じゃあ何であからさまに女だって公表しなかったんだよ?」
「おんしバカか?」
「はいい??」
握り締めた拳に力を込めながら、のんきな顔になっているじいさんにマヌケな声を出してしまった。
「人の話を聞いとらんかったんか? 女と分かれば妖一族や悪鬼やらが躍起になって子を成しに来ると。それを防ぐために男として育ててきたんじゃろが。そこまで頭回してもらわな困るのぅ」
侮辱されているのが手にとるようにわかるが、相手は老人。何とか怒りを抑えて丁寧に返事する。
「バッ、バカで失礼。まあ確かに最高神の神獣を手にした女に子を産ませれば、この世は闇一色。厄介なもんではあるわな?」
押し黙っている遥にチラリと視線を移し、ポンッと肩に手を置いた。
「じゃあ何の欲もない俺の嫁になるしかねえじゃねぇか!」
「なっ!? 何でいきなりそんなことになるんだ!」
いきなりどたわけた言葉を受け、置かれた手を払いのけながら叫んだ。
「わしゃかまわんが?」
「じいさんはすっこんでろ!」
睨みのきいた目にスゴスゴと引き下がると、低く甘い声が襖から聞こえてきた。

