妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>


 「何を薮からスティックにっ! 遥はもともと女、あ、しもうた…」

 じいさんは慌てたように口を手で覆い、龍二は怪訝な顔になった。

「元から、女…? だって、本堂家に女が産まれたなんて今まで一度も…」

「だから男として育てられたんだよ」

 肩に掛けているタオルを口元に当てながら、赤い顔をした遥が後ろに佇んでいた。

 立ち話も何だと言うことで、二人は居間に入り、じいさんは重たい口を開いた。

 そもそも陰陽術を扱うものは、能力の高いとされる男が代々当主を勤めあげるようにされている。

 そして本堂家では女が産まれたという記述は残されていない。

 本堂家は、他の家系よりも陰陽術の能力がひときわ高く、女人が産まれれば吉凶とされ、掟により神への貢ぎ物とされてきたのだ。

 能力の高い女人が産まれれば、必ず妖の類が躍起になって奪いに現れ、より高い妖力を持つ子を成そうとするからだという。

 だがなぜ遥だけが生きているのかが謎だった。

「遥が女だって、正蔵様は知っているってことだよな?」