龍二はぎゅっと目をつぶり、冷や汗を流しながら言葉を続けた。
「いにしえより封印されし、朱き目を持つ妖…朱眼狼を甦らせてしまったのでございます!」
『なんだと!?』
二人は同時に声を荒げた。
朱眼狼。歴史上では抹殺された、九尾の狐とほぼ等しい力の持ち主と呼ばれた大妖怪。
平安の世に名を轟かせていた安部清明が石の中へと封印したのが、九尾の狐だ。
今は殺生石と呼ばれ、今も触れれば災いを起こすとまでいわれている石。
だがその反対に、名も知られず山の奥深くに封印されていた朱眼狼は、清明が九尾の狐以上に手こずった妖だった。
それを護っていたのは西劉山の高層達。
近年の土地開発のためか、山を切り崩して巨大なアミューズメントパークを作るために強行突破され、封印されていた石の祠を破壊されたのだ。
破壊されたあと、辺りは朱眼狼の瘴気の渦にのまれてしまい、現場にいた霊力のない人間達はミイラのように無惨な姿となった。
自由の身となった朱眼狼はどこかへと姿を眩ませ、陰陽頭ですら見つけることは叶わなかった。

