妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>


 夜の闇に紛れるように蒼い炎で姿を消し、遥はその場に取り残された。

 ペタリと地面に腰を落とし、髪をかきあげながら一息つく。


「くそっ。あんな高等妖怪が近くにいて気づかねぇなんて」

 さすがに長年を生き抜いてきた高等妖怪に気づかず、遥は悔しそうに拳で地面を叩いた。

「世話がやけるぞ。何をやっている」

 ふわりと熱い風を巻き上げながら、一人の男が立っていた。
 闇のような漆黒の短髪。目を閉ざすかのように、鉄の目隠しをした長身の男。

「騰蛇(トウダ)。ごめん」

 腕を引き上げられ、よろつく体を騰蛇に預けながら、ようやく帰路についた。





 家に着くと、グレートマックスなほどのテンションで迎えに出てくるじいさん。

「おっかえりはるべぶっしゅっ!」

「貴様。少しわきまえる気はないのか?」

 騰蛇は思いっきりじいさんの顔に蹴りをくらわし、じいさんは力無く床に突っ伏した。

「なんぢゃ騰蛇! いきなり何すんのぢゃ!」

「それはこっちのセリフだ。ん?」

 インターホンが鳴り、遥は二人に奥にいるように手を振り、玄関のドアを開けた。