妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>



 ポテポテと他愛ない話をしながら河川敷を歩いている。
 一人で帰るのは危ないと言われ、送ってもらっている遥。

「そういえば、君はどうしてバイトなんかを?」

「俺の家、じいさんだけしかいなくて、稼ぎもないから俺が生計たてるしかなくて」

 苦笑しながら言うと、維鳴は心配そうに顔を歪めた。

「それは、大変だ。自分の体は、大切にしないといけないよ?」

「丈夫だけが取り柄なもんだから、大丈夫ですよ」

「丈夫…か…」

 ポソリと呟くように言われ、遥は維鳴を見上げた。

「んむぅっ?!」

 急に唇を覆われ、抱き寄せられた。
 抵抗するが、なぜか力が出ない。

 ゆっくりと瞳を開けば、銀色の目が光る。

(妖怪だと!?)

 掌に力を込め、覇気と共に維鳴を突き飛ばした。
 荒く息を吐きながらガクリと地に膝を付け、突き飛ばされた維鳴は宙を舞って浮かぶ。

 小さな舌なめずりをしながら、恍惚な笑みをした。

「なんと美味で素晴らしい力。さすが最高の力を持つ陰陽師、本堂家の当主ですね?」

「てっ…てめぇ…力を吸いやがったな…」

 不覚にも、膝が立てらせることを許さないほどに力を吸われ、荒い息をあげながら維鳴を見上げた。