大きな洋風の建物。
歴史を感じる雰囲気だけどとても綺麗で素敵な校舎。
白と金の色使いが何ともゴージャスなオーラを漂わせる。
中等部校舎よ、アナタの記憶を少し見せて。
頭に流れる中等部校舎の記憶。
10分前、一階の廊下を走ってる。
5分前、自習室の前の窓ガラスを割っている。
そして今.....
「いる。校舎内、階段の下。一階かな?」
呟くように私から言葉が漏れる。
「ありがとう。」
私は中等部の校舎を撫でてお礼を言った。
ここは中等部の外。
これから中に入る。
「いたの?野良犬?」
首を可愛らしく傾げてこちらを見つめる凛妃。
「うん。今は階段の下にいたけど多分移動してる。でも野良犬の音聞いたから大丈夫。」
私は校舎を見つめながら音の能力で野良犬の音を聞く。
中等部校舎の記憶から聞こえた野良犬の音。
それをたどって行けば野良犬は見つかるはず。
楽しそうな野良犬の音が私の頭の中で鳴り響く。
「こっち!!」
私は中等部校舎の大きな扉を開けて走り出した。



