母子受難



それでも最近の私は、どこか、何かが足りない様な気がしてならない。

それを、いつの間にか見ないようにしながら、けれども視界の端っこに置いて生きてきた様に思う。
それが何なのかは、ハッキリとは分からない。
言葉では、うまく言い表せないのだ。

ただ言える事は、私は祖母を亡くしてから今まで、ずっとずっと孤独だ。
孤独で、寂しい。

母を求めて泣いた日と、今の私とではどう違うのだろうか。

……違うだろう。
違うはずなのだ。

私は自分の足で立っている。
自分の力で人生を歩いている。

母の様に男に媚びたりはしない。
母の様に無知ではない。
母の様に無自覚ではない。

母の様に不幸ではない。



けれども私は、近頃の私は、鏡を見る度に、あの母の傲慢な目付きがあって、密かに……


ゾッとするのだ。