それから僕は、足早にホテルを出てコンビニへと向かった。

おにぎりを3つとサンドイッチ、それからおでんの大根とはんぺんとこんにゃく、玉子を2つ……
そうして熱い缶コーヒー。

サンドイッチは野中七海のために買った。

そうして僕は、彼女からの電話が鳴るのを、ドアがノックされるのを、ただひたすら一人部屋で待った。

僕を必要としてくれるかもしれない淡い期待を抱きながら。


………


けれどもその日は、終始静かな夜だった。

電話が鳴る事も、ドアがノックされる事もなかった。

僕は何度も寝返りをうちながら、耳に重くのしかかる静けさに何度も対峙した。
気がおかしくなってしまいそうだった。


こんな夜を……
野中七海は何度明かしてきたのだろう。
歩太は……
歩太もまた、僕の知らないあの部屋で。
何度も、何度も。