「……本当? 本当に、そう思う?」 布巾を握りしめたまま、彼女は僕を見た。 ……… その視線を受けながら、まるで僕の身体が、むき出しになってしまう様な感覚に囚われる。 「わたし、これをもらった時、アユに何もかも見透かされたんだと思ったわ。 アユやパパに見つけてもらうために、わざと群れからはぐれるような狡さを、わたしが何度も……利用したんだって事」 「……利用?」 僕には、彼女の言っている事の意味が、よくわからなかった。 狡さを利用? いったいどういう事だろう。