…… ……ガラ ……… 「な……」 ザワザワザワ…… ドアを開けた僕は、思わず出かかった言葉を飲み込む。 ……想像もしていなかった光景に、鳥肌が立った。 目の前に広がるのは、壁一面の ……白。 それが、一斉にカサカサと音を立てて波を打つ。まるでこの部屋全体が、呼吸をしているかのように。 ……白? 違う。 よく見ると、小さく華奢な文字が白の中に無数に並んでいる。 ……… 「なんだ……これ」 僕の声は、主のいない部屋に虚しく響いた。 それを、異様な壁の白が吸い込む。