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その日から、工藤さんは頻繁に僕を誘ってくれる様になった。


野中七海には内緒で、二人だけでバーなどへ行く時もあったし、彼女も連れて三人で食事をする事もあった。


工藤さんはいつも白ワインで饒舌になり、僕に説教を始め、ニコチンの強い煙草の煙を吐いた。


工藤さんは工藤さんなりに、僕を可愛がってくれている。
僕もまた、工藤さんのアドバイスをいつも心強く感じていた。

工藤さんは、野中七海の事をよく理解している。
僕なんかよりもずっと、大人の視点で彼女を見守っている。

工藤さんはまるで、無条件に愛情を差し出す、彼女の父親の様でもあった。


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野中七海は……
彼女はやはり、何も変わらなかった。


キッチンではいつも野菜中心の食事を作り、僕に香りのいいコーヒーをいれてくれた。

うふふ、と笑い、時には頭痛で顔色を悪くし、長い睫毛を伏せてブルーのノートを大切にした。


彼女は……

都合の悪い事は、すぐに忘れてしまう性格なのかもしれない。

僕のあの失言の事など、彼女の中ではとっくに終結している様だった。