「いいの?ちょうどそろそろ変えたいと思ってたところだけど、くららさん気を悪くしないかなぁ」
「大丈夫。俺のカットモデルになったって言えばいい」
「そうなんだ」
ホッ。
彼のカット技術は見事だった。まずパーマを落としてストレートに。
そして、サイドを少しだけ短めにカットし、後ろは長めのミディアムヘアに。
すごい!似合う!
いやいや、決して自画自賛ではなくて、ほんとに。
過去最高に似合うスタイルだ!と思えた。
自分が求めていたのは
これだ!と。
美容師じゃないのに、こんなことできるんだぁ、と感心していたら、何枚か写真を撮られた。
そしてそのサロンの店長に
「お疲れさまでした」
と丁寧に頭を下げられた。ほんとに、カットモデルだったみたい……?
私は、このまま帰っていいものかと思いつつ、外で様子を伺っていたら、
彼がやってきて
「ゴメンゴメン!今日はサロン借りるだけの予定だったんだけど、仕事の話になってきたから。
ここから、ひとりで帰れるよね?」
「え?ああ、……ハイ」
「今日はお疲れさま。またね」
とても慌ただしい様子で、サロンの奥へ戻って行った。
美人な店長とふたりきり……。
いやいや、美容師さんは綺麗な女性が多いもの。
いちいち妬いていては、身が持たない。
彼は、日々美しい女性と接している中、私を選んでくれたんだから。
もっと自信を持たなくては。
またね、って言ってくれてるし。
