「教頭先生の許可もらってるから、ゆっくりできるな」 先生は、音楽室の鍵を開けた。 ゆっくりと開く扉。 懐かしい匂い。 あの頃と同じ匂い。 カーテンから差し込む光。 「鍵閉めちゃったぁ」 あの頃と同じ先生のセリフ。 そして、同じニヤリ顔。 「久しぶりだな、ベートーベン」 先生は壁にかかったベートーベンの肖像画に挨拶をする。 いつも、見られてたもんね。 私達の秘密のキスを。