そこに立っていたのは、細身のスラっとした女性だった。



165cmくらいありそうな長身で、スキニーデニムがとてもよく似合う綺麗な足をしていた。




帽子をかぶっていて顔は見えなかった。







七緒ちゃんを抱き上げたその女性と、目が合う。








想像していた人と違った。




優しい目をしていた。





勝手な想像だけど、気の強そうな印象の人なんじゃないかと思っていたんだよね。




全然違う。



柔らかな雰囲気で、化粧もそんなに濃くなくて。



日に焼けた肌が似合っている。







「七緒ちゃんのお母さんですか?」






私は勇気を出して声をかけた。




このチャンスを逃すと、一生話せないかもしれない。




ずっと会ってみたかった。



怖いけど、ちゃんと話してみたかった。





先生が愛した人。




先生が結婚していたかもしれない人。