「次からはバツゲームな!ビリんなったやつは、内緒にしてた秘密をいっこ暴露~!!」
「はー!?おれ絶対損やし!!」
「お前の秘密てどーせアレやろ。二年のとき―」
「~ってなにバラしよんねん!?」


向こうで聞こえる声。はははーって盛り上がる笑いを後ろにして、あたしは口をゆすぐ。

バーベキューのタレの味はすっかり消えたけれど、歯磨き粉の味は、好きじゃない。

うがいだけではすぐに落ちない匂いと味に、あたしは眉をひそめる。

…好きじゃない。だから、チョコミントのアイスなんてもってのほかだし、大嫌いだ。

ザーザーザー、ガラス戸一枚越し、主張するようなシャワー音に、眉間のシワが深くなる。

…嫌い。大嫌いだ。元岡が好きなもの全部。


最初から、全く趣味が合わなかった。

食べ物から、服装から、映画のジャンルから。だったらなんでって、自分でもよく思うけれど。


”内緒にしてた秘密をいっこ暴露”。


それならあたしの秘密は、元岡と付き合ってたってことだ。

誰にも言わなかった。仲良しグループの、誰も知らない。